富士山で起きた事件・事故
富士山は比較的観光地化された山ですので、あまり大きな事件は起きにくい状況です。
しかし、時には人を死に至らしめるような事件も発生しています。
ここではいくつかの事件を紹介します。
山は決して安全で無い事を認識していただけたらと思います。
他にも多くの事故が起きています。また、ニュースにならない怪我等も発生している可能性もあります。
せっかくの登山、楽しく安全に過ごせるよう、気を配る必要があるでしょう。
最新の事件事故に関しては『富士山ニュース』からご確認ください。
排泄物を放置
2014年9月17日に富士山での排泄物が放置されているという問題がニュースになりました。
富士山では山小屋などを中心にトイレが用意されていますが、その間にはトイレがありません。
また、山小屋ではトイレに入らずに問題なかったにも関わらず、途中で体調を崩してトイレに行きたいと思うこともあるかと思います。
かといって、その場ですることは他の人の迷惑にもなりますし、上に行けばいくほど排泄物が自然分解することができず、長期間、そのまま放置されることになります。
トイレが心配な人、山小屋が少ないルートで登る人は、必ず携帯トイレを持参し、利用した際は道中で捨てたりせず家まで持ち帰りましょう。
『世界文化遺産・富士山の登山道で、登山者が捨てたとみられる排泄(はいせつ)物が多数放置されていることが16日、県の調べで分かった。県は環境省に報告し、マナー啓発に力を入れていく。
県自然保護課によると、夏山シーズンの終了を受け、県が14日に登山道を調査したところ、須走口5~6合目の17カ所で、排泄物が放置されているのを発見。人目のつかない岩陰や草むらの中で、ポリ袋に入っていたり、ティッシュで隠された状態で見つかったという。
排泄物を回収した同課の平野潤課長は「こんなに不謹慎な人がいるのかと思うと、怒りを通り越して悲しい」と嘆く。同課によれば、気温が低い富士山では、排泄物が分解されずに残ってしまうことが多い。分解されたとしても土の栄養分が高まることで植生が変化し、富士山の景観を損なう可能性がある。』(産経新聞9月17日配信より)
落石事故で頭の骨を折る重症
2014年8月9日の午前3時に落石により女性の頭の骨を折る事故がありました。
朝3時ということもあり、山頂でのご来光を見るために頂上を目指していたものと思われます。当然暗く、落石にも気が付きにくかったのではないでしょうか。
山頂でのご来光は魅力的かもしれませんが、こうした事故もあるため、無理に山頂でのご来光を目指さず、山小屋ややや明るくなってから山小屋を出発して山頂を目指すなど、予定を工夫してみてはどうでしょうか。
登るために下山道に入ったことを問題視する人がいるかもしれませんが、これは良いか悪いかは別として裏技としてよく知られた手段で、今回の落石との関係はまったくありません。仮にこの時間に下山道を下山していても、落石があれば被害を受けていた可能性はあります。
とはいえ、この時間帯に下山するという状況はあまり生まれませんので、普段の明るい時間の下山の際に必要以上注意する必要はありません。落石があれば他の人が声を出して教えてくれますので、その声で反応できると思います。
事故の詳細は以下の記事をご確認ください。
『9日午前3時15分ごろ、富士山9合目付近の山道で、斜面から落ちてきた20センチほどの大きさの石が登山中の仙台市泉区、会社員川崎加奈さん(28)の頭を直撃した。川崎さんは甲府市内の病院に運ばれたが、頭の骨を折る重傷を負った。ほかの登山者にけがはなかった。
富士吉田署や県などによると、事故現場は吉田、須走両ルート共通の下山道近く。事故を目撃した人の話から、縦横約20センチ、厚さ約3~4センチの石が斜面側から数個落ち、川崎さんにぶつかったとみられる。近くの8合目救護所にいた医師が処置した後、5合目まで搬送され、待機していた富士五湖消防本部の救急隊が病院に搬送した。
川崎さんは約30人の登山ツアーに参加し、8日午後に5合目から吉田口登山道に入った。午後11時すぎ、休憩していた7合目の山小屋を出て山頂を目指した。登山道の混雑を避けて登るため、ガイドの判断で本8合目付近から下山道に移動している際、下山道の手前で石が落ちてきた。』(山梨日日新聞8月11日配信より)
富士山吉田口登山道に3メートルの落石
2014年の登山シーズンを迎えた富士山ですが、吉田口登山道の5合目で7月1日に大きな落石がありました。
幅が3メートルもある石です。
人的被害はありませんでしたが、現地では登山者に迂回を呼び掛けているとのことです。
また、もし、石が落ちている最中に出くわした場合、恥ずかしくても「らーく」もしくは「落石」と、石が落ちてきていることを知らせるために大声で叫びましょう。「らーく」は世界共通の落石を知らせる言い方です。日本で「らーく」と言っても普段山を登っていない人以外わからないかもしれませんので、「落石」でいいかもしれません。
とはいえ、富士山には海外から訪れている人も多くいます。そうした人にわかるようにするという意味では「らーく」がお薦めです。
なお、「らーく」は英語の岩という意味の「ROCK」と似ていることから、海外の人でもわかってもらいやすいといわれています。
富士山火口に滑落、救助者も行方不明
2014年5月4日、富士山山頂で滑落事故が起きました。また、その救助を行おうとした別の登山者も滑落して行方不明とのこと。
詳細はニュース記事でご確認ください。
基本的に5月はまだ登山シーズンではないため、7月や8月に訪れる一般の登山者が同じような滑落になることはほとんどありません。山頂も雪が解け、どこが火口なのかわかりますし、立ち入り禁止の区切りもあります。
今回は5月と雪がまだ多く残る時期であったこと、また、本来であればするべきでない山頂でのスノーボードを問題視すべきでしょう。
こうした一人の不注意により、他の人も被害にあわれたとのことですので、一人で登山をされる場合は夏であっても十分な準備や配慮を行い、人に迷惑をかけない登山を心がげるようにしましょう。
『4日、富士山の山頂付近で男性が滑落して意識不明の重体になっているほか、救助に当たった別の男性も滑落して、行方が分からなくなっています。
警察は、天候が悪いため、5日の救助活動を見送り、6日以降、再開するとしています。
4日午後1時前、富士山の山頂の剣ヶ峰付近で、登山中の男性から「一緒にいた仲間が火口に滑落した」と携帯電話で警察に通報がありました。
警察によりますと、滑落したのは千葉県の陸上自衛隊習志野駐屯地所属の自衛官、菊池健太さん(23)で、意識不明の重体です。
菊池さんは、同僚2人とともに火口の周りでスノーボードをしていて、数十メートル下に滑落したということです。
また、救助活動に参加した別の登山者の男性1人も滑落して行方が分からなくなっています。
5日の富士山の周辺は、雨雲で視界が悪いうえ風も強いため、警察は2人の救助活動を見送り、天候の状況を見ながら、6日以降、再開するとしています。
富士山にはまだ残雪が多く、山頂付近は雪に覆われた状態が続いていて、警察などは、登山は危険だとして5合目より上に登らないよう呼びかけています。』(NHKニュースより)
2013年の富士山遭難件数
静岡県警が2013年の富士山の遭難件数を発表しました。詳細は分かりませんが、もしかしたら静岡県側のみの情報の可能性もあります。
夏場の死亡事故は2013年7月の次の項目でお伝えした件と思われます。
富士山は比較的山道が整備されているため、遭難に合いにくいですが、夜に登ったり事前に情報を集めずに登ると遭難の可能性が高まります。必ず事前に情報を集めてから登るようにしましょう。
『静岡県警が発表した昨年の山岳遭難事故発生状況で、富士山の遭難者が前年比5割増の106人で統計が残る昭和48年以降最多となったことが明らかになった。遭難件数も同42件増の98件とほぼ倍増。負傷者も同18人増の40人と大幅に増えたが、死者は同2人減の5人となった。
富士山の遭難者急増について、県警地域課は「世界文化遺産登録を機に不慣れな登山者が増え、十分な装備をしないまま観光気分で登る人が多かった」と分析。遭難者の増加に伴い、救助にあたる県警山岳遭難救助隊の出動回数は、前年の約3倍の94回にのぼった。同課は「昨年はひっきりなしに救助要請があって、隊員はへとへとになっていた」と振り返る。
また、冬季の富士山登山の死亡事故も相次いだ。登山シーズン(7月上旬~9月上旬)の死者数が1人だったのに対して、冬の閉山期の死者は4人だった。同課は「冬の富士山は非常に気象条件が悪い。安易な登山は絶対に控えてほしい」と呼び掛けている。』(産経新聞2014年2月1日配信より)
2013年7月、世界遺産登録後の夏の死亡事故
2013年6月に富士山が世界遺産に登録された後に起きた死亡事故です。
ニュースを見る限りでは特に無理な登山をしているわけでもありませんので、富士山に絡む事故と考えるべきかは迷いますが、高所で平地とは異なる環境に身を置くことは、こうしたことも起こりうることを頭に入れておきましょう。
とはいっても、こうした死亡例は稀のため、あまり深刻に考えすぎて登山を委縮するのも問題です。
体調が悪いと感じたら早目に下山するなど、自衛をするだけで、トラブルを防ぐことが出来ると思われます。また、持病がある人は、そのことを考慮に入れた登山をしましょう。
『20日午前8時頃、富士山頂の剣が峰で、写真撮影していた東京都杉並区阿佐谷南、自営業奥原修一さん(44)が倒れたと友人の男性から110番があった。
静岡県警山岳遭難救助隊員らが駆けつけたが、奥原さんはすでに心肺停止状態で、救命措置がされたが、間もなく死亡した。
富士宮署の発表によると、奥原さんは19日午後2時頃、友人3人と一緒に須走口登山道(静岡県小山町)から富士山頂を目指した。20日は山頂付近で仮眠し、早朝には山頂に到着。火口の周囲を回る「お鉢巡り」をしながら写真撮影をしていたという。』(読売新聞2013年7月13日)
2013年新年早々、連続して事故
2013年には新年早々、連続して事故が発生しています。
一つの事故は、一人で登山をしに行き、行方不明のまま捜索が打ち切られています。
もう一つは、同じく一人登山で、冬の富士登山も何度か経験しているものの、滑落事故によるものかけがをした状態で死体が発見されています。
このほか、2012年年末には1500メートル程度の低い位置で死亡事故が起きています。冬山登山の格好をしているものの、年齢は73歳と高く、こちらも一人で行動をしていたようです。
冬山はただでさえ危険が高い時期です。
一人で行くのは論外ですし、また、複数人であっても本格的な練習を積んだことのある人以外は行くのを控えましょう。
軽装備で富士登山で死亡
2012年6月9日に、富士登山の最中に死亡した男性がいました。
まず、6月は冬季期間中に辺り、原則富士登山禁止の時期です。山開きは7月から8月のみです。
また、仮に登山をするとしても、たとえ6月であっても、冬山と同じような装備で挑む必要があったものの、軽装で登山をしていたとのこと。これは7月でも8月でもそうですが、装備は常に十分に整えて登山に挑む必要があります。
冬山という過酷な状態にも関わらず、一人で登っていたのも問題です。一人で富士登山をする人はいてもよいですし、当サイトでも一人で登ることを紹介していますが、あくまで7月から8月の人が多く登って設備なども十分利用可能な時のみを前提としています。
安全に、そして確実に登山を楽しむためにも、事前準備や情報収集はしっかりと行い、登山を行うようにしましょう。
今回のニュース記事は下記の通りです。
『9日午後4時15分頃、富士山須走口登山道の本7合目(標高約3000メートル)で、「亡くなっている人がいる」と、近くの山小屋関係者から静岡県警御殿場署に通報があった。
県警山岳遭難救助隊が10日午前9時15分頃、倒れている男性を発見したが、既に死亡していた。
同署の発表によると、男性は埼玉県越谷市谷中町、会社員中川修さん(36)。死因は調査中。中川さんは軽装に運動靴のような靴を履き、ピッケルなど十分な登山装備も持っていなかったとみられる。
富士山では現在、5合目から上の登山道が冬季閉鎖で通行止めになっている。』(読売新聞2012年6月10日より)
台風接近中に軽装で登山、救助される
2011年9月3日に富士山に登山していた大学生4人のグループが救助されるという事件が発生しています。
この前後には台風が日本に接近している時でした。
天候を考慮せずに行動をすると、こうした問題が発生するという良い例と言えるでしょう。決して天気を軽視することなく、長く計画をしていたとしても時には登山中止も視野に入れて行動するようにしましょう。
また、軽装で出かけたというのも問題です。いろいろと用意をするとお金がかかりますが、怪我などをして一生の問題を抱えるよりかは、しっかりとした準備をして登山を楽しむ必要があります。
以下、読売新聞の記事より。
『軽装富士登山「山をなめていた」、広島の学生ら4人救助
3日午前4時頃、富士山に登山中だった広島市内の男子大学生(22)ら4人から「風雨が強くて身動きがとれない」と110番があった。静岡県警富士宮署の山岳遭難救助隊員らが約5時間後、8合目(標高約3250メートル)付近で4人を救助した。けがはなかった。
午前4時の富士山頂付近の気温は約8度。4人は、台風12号の接近は知っていたが、いずれもフリースにひざ丈のスパッツ、スニーカーなどの軽装で、「富士山をなめていた。申し訳ない」と話しているという。』(読売新聞2011年9月4日より)
8月に死亡事故
富士登山中に一人で富士山山頂を目指していた人が倒れ、その後死亡した事故が2010年8月12日にありました。特に一人登山を行う人は、こうした事の無いように体調管理をし、スケジュールに無理がないように計画しましょう。
また、途中で体調の変化があった場合は、上に登らず降りる勇気も持ちましょう。
以下、共同通信の記事より。
『富士山で静岡の男性死亡 単独登山中
富士山の山梨県側・吉田口登山道9合目付近で12日午後10時40分ごろ、静岡県清水町長沢、会社員小松透さん(47)が倒れているのを登山者が見つけた。5合目へ搬送される途中で、駆け付けた救護所の医師が死亡を確認した。
富士吉田署が死因を調べている。1人で山頂に向かっていたらしい。』(共同通信2010年8月13日より)
冬山での事故
冬の富士山ではありますが、死亡事故などが起こっています。
F1レーサーとして有名であった片山右京氏と、その同行者2名が2009年12月18日に冬の富士山登山を実施。同行者2名が死亡しています。
初日の出を見に行き、滑落して意識不明の重体
2011年の初日の出を見に富士山に登った46歳の男性が、滑落して全身打撲や脳内出血などにより、意識不明の重体になったという事故があります。
初日の出を見るために一人で登山し、事故にあったようです。冬山の話ではありますが、一人による事故の可能性を考えさせられる出来事です。
思いつきで富士登山で救助要請
登山シーズンにはまだ微妙に適していない2010年7月2日に思いつきで富士山登山を実施。
装備も満足に整えずに登っていき、夜になり道がわからなくなり携帯電話で救助を求め、救助された22歳男性の人がいます。
9合5勺までは行ったものの、諦めて下山を開始。8合目辺りで道がわからなくなり、救助を要請したとのことです。
食料もライトも持たず、服装も普段着だったようです。
9合5勺まで進んだということはすごいことではありますが、結果として人に迷惑をかけています。また、場合によっては遭難で発見が遅れ、最悪死亡する可能性もあります。
計画性の無い、そして装備を整えない登山はやめましょう。
落石が自動車直撃、男性死亡
2009年7月13日に、富士宮口新5合目駐車場に止めていた自動車に落石が直撃。中にいた男性が死亡したという事故が起きています。
落石は7合目付近から新5合目まで落ちてきたようで、推定重量は約3トンの巨石でした。
これだけの巨石が落ちてくることは早々ありませんし、実際に落ちてきた時に対応できるかどうかはわかりません。
ですが、こうした事故が登山中にもありうるということを認識する必要があります。
また、自らが落石を発生させないように、崖側を歩かないようにするほか、石を蹴り飛ばしたりしないようにしましょう。